富士経済(東京都中央区)はこのほど、今年4~7月にかけて太陽光発電関連市場を調査した報告書「2013年版 太陽電池関連技術・市場の現状と将来展望」を刊行した。体裁はA4判283頁で、頒布価格は書籍版・PDF版がそれぞれ12万6000円、書籍版+PDF版が14万7000円。
報告書によると、平成24年の太陽電池世界市場は、市場を牽引してきた欧州の需要減退などで3万5063MW(前年6.2%増)と成長が鈍化した。今年は欧州の割合がさらに縮小する一方、中国などの新興国、北米や日本などが好調で4万1905MW(19.5%増)と見込まれている。金額ベースでは、主流の結晶シリコン太陽電池でシリコン材料など部材コストが低下したため市場が縮小しており、結晶シリコン太陽電池の価格低下に連動し薄膜太陽電池も価格が下落したため、24年の市場規模は2兆6256億円(34.8%減)の大幅減となった。今年はポリシリコン価格の下げ止まり、電池メーカーの戦略見直し、欧州での中国製太陽電池の価格統制など、電池価格が安定化する兆しが見られるため、3兆889億円(17.6%増)と見られている。
種類別動向では、出力ベースで結晶シリコン太陽電池のシェアが8割以上となった。薄膜系は、薄膜シリコン太陽電池が22~24年までシェアを下げたが、一部の中国系メーカーが大型案件向けに積極的に取り組む動きがあり、今年はシェアが上昇する見込み。世界的な需要動向では、中国やインドでの需要が顕在化し、今後は東南アジアや南米など日照条件の良好な地域での需要増加も期待される。32年には出力ベースで8万4145MW(22年比2.4倍)、金額ベースで3兆6035億円(1.4倍)と予測されている。24年のシステム導入量は、3万1350MW(5.5%増)となり、今年は3万7500MW(19.6%増)の見込み。32年には世界合計で7万5000MW(24年比2.4倍)が予測される。国内の導入量では、今年度は5500MW(7.9倍)と大幅増となる見込み。