シーメンス・ジャパンは8月2日、火力、水力、原子力に再生可能エネルギー(RE)を加えた自社予測の2030年における国内電源構成シナリオを公表した。予測によると、2011年の国内総発電容量の245GWとほぼ同様の容量が保たれると仮定した場合、2030年にはREが25%、水力が10%を占め、原子力の構成比は15%程度に低下するという見通しになっている。
この25%中、約14%は風力発電が占め、残りは太陽光発電と地熱発電で構成される模様。一方、液化天然ガス(LNG)などの通常火力はREの補完用電源としても活用され、35%程度の電源シェアを占めるようになる。また石油火力は2011年の19%から1%と激減する。一方、グローバルの電源構成比では、ミヒャエル・ヴァインホルト・シーメンス本社エナジーセクター最高技術責任者によると、2030年の総発電容量1万356GW中20%をREが占め、その20%中陸上風力が45%、太陽光発電が32%、洋上風力が9%、バイオマス~廃棄物発電が10%と風力がREの半分以上のシェアを占めるという。ただし、REの種類により技術的な成熟度が異なるため、成熟度に応じた支援が必要になる。
その上でヴァインホルト氏は、現状は過去の一方通行的・集中的な形から多方向的・分散型に電力供給の形態が変化しつつあると指摘。将来的なエネルギーシステム像として▽スマートグリッド、▽エネルギーストレージ、▽系統の強化・拡張、▽負荷変動に柔軟に対応でき、高効率な発電が求められるとした。そこで同社は電力の「最適統合システム」の確立を提唱している。この構想は、各プラントの費用対効果や低い環境負荷などが達成された上で、▽REやLNG火力などとのエネルギーミックス最適化、▽電力・エネルギーミックスの全コンポーネントでの高効率化、▽各電源間の連携などシステムの最適化、などが達成されて実現するもの。
同社がREの中でも注力する風力の今後の需要動向について、藤田研一・シーメンス・ジャパンエナジーセクター代表は、「洋上風力の案件は2015~16年にかけて国内でも立ち上がってくる」と予測。エナジーセクターでは風力、火力、超高圧直流送電を中心に市場に取り組んでいく。風力発電機では、SWT-3.0-101DDなどに適用されているダイレクト・ドライブ技術などをセールスポイントに、国内市場で存在感を増したいとコメントした。また、新機軸として潮流発電にも注力。40%以上と発電効率が高く、現在欧州で約6GWの受注実績があるほか、潮流などが1時間単位で予測できるため有望な分野と見ている。現在同社は国内外で幅広くパートナー企業を募っており、すでに何件かの問い合わせもあるという。