環境省が三菱総合研究所に委託して行った「平成24年度使用済再生可能エネルギー設備のリユース・リサイクル基礎調査」報告書によると、使用済み太陽光発電設備の廃棄量は平成32年から10万t台になり、平成42年には35万2733tに達すると見込まれている。風力発電設備は61万9329t、中小水力発電設備は1万4431tとなる見通し。地熱発電設備は廃棄量にばらつきがあり、平成30年~平成36年の間は廃棄されない見通しだが、平成39年には2万4333tが廃棄される見通しとなっている。
再生可能エネルギーを活用した設備は、FIT制度の施行で普及に勢いが見られるが、耐用年数を超えた設備がどの程度廃棄されたり、リサイクルされるかといった統計はこれまでなかった。今回の調査は一般家庭向けも含めた各種設備の普及・浸透の負の側面にスポットを当てたもので、メーカーへのヒアリングに基づき10年に1回パーツ交換を行うと仮定するなどして排出見込量を推計した。太陽光発電設備はメガソーラーなど産業用も住宅用と素材構成が同じと見なして推計した。その結果、太陽光発電用モジュール、パワーコンディショナーは導入後経過年数1年の時点の修理・交換率が17.1%、28.9%と最も高かった。2年後以降はそれぞれ0.6~2.3%、1.4~4.2%とそれほど高くなかった。平成27年以降の廃棄見込み量は増加傾向にあり、27年付近では約7万~9万t/年となり、42年では約25万~70万t/年となる。内訳を見ると住宅用と非住宅・メガソーラーの排出の割合は4:6程度と見通されている。平成27年以降、住宅用も廃棄見込み量は増加傾向にあり、27年付近では約3万~4万t/年で、42年では約9万~23万t/年となる。
このほか、風力発電設備は、平成27年~32年で数万~約20万t/年、33年~36年には約10万~75万t/年、42年には20万~140万t/年程度の廃棄が見込まれている。廃棄量の内訳は、土木設備部分の排出が設備寿命などで大部分を占める。修理・交換に伴う廃棄は全体の2~5%程度と見られる。中小水力発電設備は、最大約3万t/年が廃棄される見込みで、9割以上が設備寿命のため廃棄される見通し。環境省の推計通りに今年以降、設備の導入が進む場合は、32年代から修理・交換に伴う廃棄が増え、約7000t/年程度と一定量を占めることになる。地熱発電設備も、設備導入後の設計寿命を迎えるタイミングで廃棄が見込まれ、設備規模にもよるが約数千~数万t/年の廃棄見込量が推定されている。
廃棄後の設備をどうリサイクルするかだが、太陽光発電設備はモジュールに使用されるガラスの割合が大きく、全体の約40%を占める。次いで鉄(20~25%)、充填材(EVAなど)・プラスチックなどのその他(14~20%)、アルミニウム(12~16%)の順に構成比率が大きい。リサイクル率向上のためには、ガラスのリサイクル・処理方法がポイントとなる。風力発電設備は、土木設備のセメント・砂・砂利が非常に割合が大きく全体の約70~85%を占める。次いで、鉄(13~23%)、グラスファイバーなど(数%)となっておりセメント・砂・砂利のリサイクル・処理がポイント。中小水力発電設備も95%以上をコンクリートが占め、残りは鉄で構成される。このためコンクリートの処理が決め手となる。地熱発電設備の部材構成は鉄(約40%)、セメント(約27%)、ベントナイト(粘土)(約26%)で、やはりセメント、ベントナイトの処理方法がポイントとなる。