2012/11/05 ニュース
アストモスエネルギー、米国産LPG購入枠拡大

米・エ社と従来の3倍、年間約50万㌧に増量~輸入ソース多元化でサウジCP牽制の狙いも

 シェールガス革命で注目される北米産のLPガスの輸入ソースに向けた、我が国のLPG輸入元売・商社間で、その買い付けを巡る動きが活発化しているが、アストモスエネルギー(東京、山﨑達彦社長)は10月17日、米国・エンタープライズ社との間で、2015年のLPガス契約数量を、従来の3倍にあたる年間約50万㌧(日本のLPガス年間輸入量の5%に相当)に増量することで合意したと発表した。北米産シェールガス(天然ガス)はすでに大阪ガスなどが買い付けに動いているが、随伴して生産増加が見込まれるLPガスについても、今後他の元売・商社筋が購入枠拡大に動くものと注目される。

 アストモスエネルギーは、今回の米国産LPガスの調達枠拡大のねらいとして、①シェールガス開発に伴い蔵さんが見込まれる米国産LPガスの購入数量増による調達先の多様化②極東向け指標価格CPと異なる米国価格モントベルビューの調達枠拡大によるCP牽制機能強化③2015年初頭のパナマ運河拡張に伴う、同社のLPガス輸送船団を活用した極東・アジア向け航路の開拓─を挙げている。

 調達先の多様化については、同社のタームFOB契約に占める中東比率は50%程度まで低下する見通しで、サウジアラムコのターム契約者に通知するCP(コントラクト・プライス)への牽制となると期待している。今回調達先の価格は、米国テキサス州モントベルビュー市場での取引価格で、極東向けLPガス輸出価格の指標となっている。日本への航路短縮が期待されるパナマ運河の拡張は、現在の幅37㍍を49㍍にするもので、完成すればLPガス大型タンカー(VLCC)の通行が可能となり、航海日数が45日から22日に短縮される見通し。

 アストモスエネルギーは、エンタープライズ社との間で、2008年から2015年までの契約を締結しており、今回の契約は2015年から1年間の契約で合意している。

 なお、アストモスエネルギーは、サウジアラビアのサウジアラムコ社が決定するCP牽制と、政情不安定な中東産のLPG依存比率を低減する目的で、かねてから東ティモール、豪州、米国等の非中東産LPGの調達に注力しており、今回はシェールガス開発が進む米国でLPG生産量も増加するとの見通しから、調達枠の拡大を図ったものとみられる。なお、アストモスエネルギーの日本におけるLPG輸入・販売は年間約370万㌧、国内及び海外でのLPGのトレーディングは年間約1,000万㌧。