2012/11/01 ニュース
エネルギーを軸にした新しい街づくりを提唱~「かながわ発!エネルギー革命」

スマートシティの最前線とこれからを描き出すための国際会議

「Smart City Week 2012」(主催日経BP社 特別協力横浜市)が

2012年10月29日、神奈川県のパシフィコ横浜で開幕。

その第1日目に開催された「かながわ発!エネルギー革命」セミナーに参加した。

 

「Smart City Week 2012」は、国内外の有識者が集まりスマートシティを実現していくための知見やノウハウなどを共有するほか、これからに向けた提言などを国内外の有識者が集い、11月2日までの5日間にわたり議論する国際会議。その初日は、「かながわ発!エネルギー革命」と題するセミナーが開催された。会場は、パシフィコ横浜 会議センター1Fのメインホール。まず、神奈川県の黒岩祐冶知事が登壇し、神奈川県が進める「太陽光発電」を中心とした再生可能エネルギーの導入構想について講演した。

「かながわスマートエネルギー構想」3つの原則と「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」の取組み強化~黒岩神奈川県知事の講演

 

黒岩神奈川県知事は、まず2001年3月の選挙活動中に起きた東日本大震災を振り返り、「原子力発電に過度に依存しない」「環境に配慮する」「地産地消を推進する」という基本3原則、そして創エネ・省エネ・蓄エネからなる「かながわスマートエネルギー構想」が生まれた背景を説明した。そして「今後4年間でソーラーパネルを200万戸に導入する」という数値目標を掲げたことが、神奈川県が現在進めているさまざまな施策、例えば「かながわソーラーバンクシステム」や県有施設の「屋根貸し」などの原動力になっていることを強調した。最後に、黒岩神奈川県知事は、「創エネ」「省エネ」「蓄エネ」の取組み強化とスマートコミュニテイの形成により一層の努力をしていきたい、と力強い言葉で講演を締めくくった。

 

3・11を契機としたエネルギー政策の転換~資源エネルギー庁の新原氏の特別講演

           

次に資源エネルギー庁の省エネルギー・新エネルギー部長の新原浩朗氏が「3・11を契機としたエネルギー政策の転換」というタイトルで今後のエネルギー政策について特別講演した。先日決定された「革新的エネルギー・環境戦略」から再生可能エネルギーを家庭や企業へ大量導入する施策、送電網の整備による系統強化、および大型蓄電池の導入促進による系統安定化対策などの具体例を示した。また、今後のエネルギーシステムは、大規模集中電源から“一方向”で供給されるエネルギー供給構造から、需要と供給の“双方向”による需給調整を行う「分散型のエネルギー」需給構造へ変革する可能性も示唆した。最後にスマートコミュニテイ関連のプロジェクトを紹介した後に、河川の水の熱を活用した東京・箱崎地区や地中熱を活用している東京スカイツリーの事例を紹介し、熱の有効活用について可能性にも触れた。

 

セミナーは、その後にパナソニック株式会社代表取締役副社長・エコソリューションズ社の社長である長榮周作氏の「藤沢サスティナブル・スマートタウン」構想についての特別講演。そして、NPO法人ガイア・イニシアティブ代表である野中ともよさんの特別講演「目指せ!自産自消のエネルギー!」と続き、10分間の休憩をはさんで、パネルディスカッションへと移って行った。パネルディスカッションは、黒岩知事がコーディネーターを務め、特別講演をした長榮周作氏、野中ともよ氏に東海大学工学部教授・内田裕久氏と東京工業大学特命教授の柏木孝夫氏、東京ガス代表取締役副社長の村木茂氏をパネリストに招いて、「かながわ発!エネルギー革命」について活発な議論が展開された。

(取材:若生幸成)