矢野経済研究所は10月12日、国内の地域エネルギーマネジメント(CEMS)事業を調査した調査結果概要を公表した。同社の調査レポート「地域エネルギーマネジメント事業の実態分析と将来展望 2018」(A4判155頁、頒布価格15万円)からの抜粋で、概要によると同社は2030年度の同事業での設備・システム構築市場は350億円に成長すると予測している。
同事業とは、スマートコミュニティ~スマートシティ事業で、電力自営線を使用し、地域の需要に合わせて管理制御したエネルギーを供給する事業を指す。同事業のエネルギー供給設備は、再生可能エネルギー発電設備やコージェネレーション設備、電力自営線などが想定される。同事業が成立するためには、対象地域内でエネルギー需要が集中し、低コストでエネルギーの供給と融通ができることが必要である。エネルギー需要が集中する場合とは、▽地方自治体の隣接する複数の公共施設などに、再生可能エネルギーなどによる電力を供給する(地方・郊外)、▽都市部の再開発プロジェクトなどで、隣接する複数の高層ビルなどに、コージェネレーションシステムなどで電力と熱を供給する(都市開発)、▽工業地帯などで隣接する複数の工場に、コージェネレーションシステムなどによる電力と熱を供給する(工業地帯:工業団地、コンビナートなど)--などが想定される。
この設備市場規模(設備・システムの導入・構築費用ベース)は、市場が生まれた規制緩和時の2012年度には20億円と小さかった。これが2017年度には150億円に成長し、今年度には200億円とと予測されている。地産地消の電力需要や都市部、工業地帯などでのエネルギー需要などから、分散型電源として今後ガスコージェネレーションシステムの導入が普及すると見られる、これもCEMS事業の伸びにつながり、電力事業改革が進む2020~2025年以降の傾向とあいまって、CEMS事業の拡大が見込まれている。これらの規制緩和や傾向などから、同事業での設備・システム構築市場は2020年度に250億円、2030年度には350億円に拡大と同社では予測している。