住友重機械工業は9月25日、完全子会社の住友重機械エンバイロメント（東京都品川区）が、大王製紙（愛媛県四国中央市）からバイオマス燃料製造システムを受注したと発表した。大王製紙の発表では、総工費は約19億円で大王製紙三島工場(同)に設置される。稼動は2020年10月を予定しており、国内最大級の嫌気処理設備になるという。新設備の導入で、両社は年間5000kLのエネルギー回収効果(重油換算)も見込む。新設備は、三島工場のクラフトパルプ製造工程で発生する排水を同社グループの嫌気性処理システム「バイオインパクト」で浄化する。この処理過程で発生するメタンガスは、重油の代替燃料として石灰焼成キルンで使用する。これで、エネルギー消費量の削減と、年間1万5000tのCO2排出量削減などを両立する。今回はクラフトパルプ排水に適用するため、住友重機械エンバイロメントは三島工場向けに専用設計する「バイオインパクトKP」を導入する。

　クラフトパルプ排水は、メタノール成分を含み有機物濃度も高いため、蒸気や電力などを使用して浄化処理されている。今回の導入で、これらのエネルギーが不要となるため、操業コストの低減効果も期待されている。なお、この案件は経済産業省の「平成30年度再生可能エネルギー熱事業者支援事業」に採択されたほか、愛媛県のバイオマス活用計画推進事業にも認定されている。