2018/08/13 ニュース
東北電力など、1万kWの水素製造装置含む実証設備を福島県で着工

 東北電力は8月9日、福島県浪江町で再生可能エネルギー(再エネ)を利用した実証設備「福島水素エネルギー研究フィールド」を着工したと発表した。東芝エネルギーシステムズ、岩谷産業と共同で着工したもの。隣接する太陽光発電設備の電力と商業電力を用いて、出力1万kWの水素製造装置から年間最大900t規模の水素を製造、貯蔵、供給する。水素の製造と貯蔵は、水素需要予測システムで市場の需要予測を算出して行う。製造した水素は、圧縮水素トレーラーで各需要家へ供給する。また、水素製造装置の水素製造量を調節して、電力系統の需給バランスを調整する。この水素の製造・貯蔵と需給バランス調整の組み合わせを、水素エネルギー運用システムで最適化することが最大の課題という。このため、実証運用では、運転周期の異なる装置、各種インプットのタイミング・期間・量が異なる需要に対し、電力系統のディマンドリスポンス対応と水素需給対応を組み合わせた最適な運転制御技術を確立する。この実証で、同社は電力系統側制御システムと電力系統関連の部分を受け持つ。東芝エネルギーシステムズはプロジェクト全体の取りまとめと水素エネルギーシステム全体を、岩谷産業は水素需要予測システムと水素貯蔵・供給関連をそれぞれ担当する。実証設備は2019年10月までに竣工し、試運転を始める。2020年7月までには、技術課題を確認・検証する実証運用と製造した水素の輸送が始まる予定。実証設備で製造された水素は、燃料電池や燃料電池車・燃料電池バス、工場での燃料などに使用される。この案件は、新エネルギー・産業技術総合開発機構からの委託事業として実施される。