エンジニアリング大手の千代田化工建設（横浜市西区）はこのほど、横浜市の子安オフィス・リサーチパークで行っていた大規模水素貯蔵・輸送システムの実証試験で見込んでいた性能を確認し、水素の物流システム構築に道筋を付けた。

 

　今回の実証試験は50N立法m/hの水素発生・貯蔵を行うデモプラント、約1万N立法m-H2と1週間分の水素を貯蔵できる専用タンクなどを用いて行った。まず、トルエンに水素を固定し、メチルシクロヘキサン（常温常圧の液体）に変換して貯蔵と輸送を行いやすくした。輸送時に使用するトルエンは、何度でも水素輸送に再利用できるという。次に、自社開発の脱水素触媒で、メチルシクロヘキサンから水素を抽出。この方法では、通常比重が軽い水素を超低温で液化したり、ボンベで圧縮する必要がなくなる。このため、通常の石油タンクやタンカーを利用できる。同社は第2ステップとして、風力や太陽光発電など再生可能エネルギー由来の電力で水を電気分解するクリーン水素の製造方法確立などに移行する。これによりFCVへの供給、都市ガスへの混入、火力発電向け燃料としての利用と供給を目指す。