2013/05/22 ニュース
平成27年度の新エネルギー用PC市場、FIT見直しなどで前年割れ

 

 矢野経済研究所はこのほど、市場調査報告書「新エネルギー用パワーコンディショナー市場2013」を発行した。A4判148ページの構成で、頒布価格は15万7500円。今年1月~3月にパワーコンディショナー(PC)メーカーと販売会社、研究機関などを調査したもので、調査によると、平成27年度のPC市場規模は前年割れするという。
 
 平成23年度までは、住宅用太陽光発電設備向けのPCが全体の約85%(金額ベース)を占めていたが、昨年7月にスタートしたFIT制度で、産業用の需要が拡大。平成24年度は産業用が全体の約47%となった。太陽光発電向けも含む平成24年度の新エネルギー用PC市場規模は、前年度比85.9%増の940億円(メーカー出荷金額ベース)と見込まれている。産業用PCは、24年度下期からフル生産が続き、納期は数か月かかるケースが多い。今年度もしばらくこの状態が続く見通しで、市場は順調に拡大している。
 
 その産業用分野では、SMAが100kW超の分野に再参入し、大型案件を受注した。ABBやカコ・ニューエナジーも積極的で、全世界での実績があり価格競争力も高いという。一方で、PCは太陽電池に比べ値下がりが進んでいないと指摘されており、低価格化要求は強い。今後、いかに低価格化できるかが大きな差別化ポイントと考えられている。今後も太陽光発電向けPCが需要の牽引役になると見通されるが、今後国内のメガソーラーは適地が限定されるため、案件が減少し、規模も小さくなる。それでも2MWクラスでは需要が期待できるという。住宅用PCも含む分野で競合は激化し、価格競争力の勝負になる。26年度まではFIT制度での電力買取価格は比較的有利に推移する見通しだが、27年度から制度の見直しもあり、ユーザーの導入意欲に大きく影響する。このため27年度の市場規模は、これらの情勢から1593億円(前年度比0.7%減)と予測されている。
 
 風力発電、燃料電池向けなどその他の分野では、中小規模風力発電向けはメーカーによって期待度に差があるものの、エネファーム向けは引き続き拡大傾向にある。太陽光発電以外でも、新エネルギー発電システムの低価格化ニーズが年々強まる中で、新規参入組や海外メーカーを巻き込み価格競争が激化すると予測されている。