2013/05/09 ニュース
政府、海洋基本計画で洋上風力発電実用化を重視

 

 政府はこのほど、総合海洋政策本部がまとめた海洋基本計画を閣議決定した。政府は同計画で、「我が国周辺海域のエネルギー・鉱物資源などの海洋資源の開発などを進めるとともに、これらに関わる資源関連産業なども含む海洋産業の振興と創出や国際展開を図ることは、将来の我が国の成長による富の創出に大きく寄与する」として、海洋再生可能エネルギーの活用に大きく弾みをつけたい考えだ。
 
 同計画の施策中、「海洋再生可能エネルギーの利用促進」では、今後、海洋再生可能エネルギーを利用した発電技術の開発コスト低減、安全性の確保、民間の参入意欲の向上などのため、実証試験海域の実証フィールド整備に取り組む。また各種実証試験などの実施で、第三者が技術的な課題の解決を評価する仕組みを検討する。発電事業用に海域利用を調整する場合、他の海域利用者などとの共存共栄を図り、地域ごとに総合的に判断して調整する。地域協調型・漁業協調型の海洋再生可能エネルギー利用メニューを作成・公表するなど、関係者間で認識を共有できるようにする。海洋構造物や発電機器の面では、安全性の制度を明確化し、日本の技術で技術的基準の国際標準化を主導する。
 
 欧米でかなり一般化している洋上風力発電では、世界最大級の浮体式洋上風力発電所の実現のため、福島県沖で浮体式洋上風力発電の実証研究を進める。平成27年度をめどに、関連する技術の確立、安全性・信頼性・経済性を評価する。さらに、普及拡大のため、洋上で大型風車を建造する作業船の課題を整理・解決し、作業船の実用化を進める。波力など他の海洋エネルギー発電技術では、発電単価40円/kWhを目標に実機を開発。発電コスト低減のため、発電システムの開発・実証研究など、多角的な研究開発を推進する。海洋エネルギー導入を推進するため、浮体式や海中浮遊式など発電施設の安全性を担保する方策を検討し、港湾の本来の目的や機能と共存する円滑な導入や利用の方策も検討する。