科学技術振興機構は、アツミテック(静岡県浜松市)が受託していた独創的シーズ展開事業の開発課題「熱電シナジー排ガス発電システム」の開発結果を成功と認定した。産業技術総合研究所・機能集積モジュール化研究グループの研究成果をもとに、平成18年3月~平成24年3月の期間に開発費1億8000万円で実用化を進めていたもの。
エンジンの排熱から熱電変換素子で電力を取り出す技術は発電効率が低く、実用化されていなかった。アツミテックは、水素など排ガス中の微量な未利用燃料で発電する燃料電池と熱電変換素子の複合体を試作。複数の複合体で、排ガス発電システムを試作しオートバイに搭載した。オートバイのエンジン排気口に設置し検証した結果、排気量400ccのエンジンが出す排ガスエネルギーの2.5%を回収でき、排ガス温度500~600℃で出力密度は1立方cm当たり1W以上と確認された。
この発電量はオートバイなどに搭載され、ライトの電気などを発電する400W級の発電ユニットの性能に相当する。今後は、複合体の発電バランスを含む量産化、低コスト化のための技術を確立し、2015年をめどに商品化する予定。発電効率を引き上げられれば、ポータルブル発電機や工場の排ガスを利用した発電装置などにも応用できる可能性があるという。