2013/05/07 ニュース
九州大学、太鼓山事故を乱気流が原因と結論

 

 内田孝紀・九州大学応用力学研究所准教授は、3月12日に京都府の太鼓山風力発電所で発生した風車損壊事故で数値風況診断を実施した。診断の結果、地形によって発生した地形乱流のため、支柱とブレードを結合する根元付近に負荷がかかり、金属疲労の進行を早めたと結論づけた。
 
 今回は数値風況診断技術「リアムコンパクト」を用いて、風況面から事故原因を考察した。この結果、事故の起きた3号機周辺では、極端の速度差や風車の垂直軸方向で大きく風向きが変化していることを確認。同教授の研究で、地形の起伏から発生する地形乱流は、風車に強く干渉することが分かっている。風車周辺で発生する地形乱流による風の変化は、風車の設計の想定範囲を越えて、急激に変化する場合がある。このため、風車はその変化に追従できず、風車内部やブレードに歪みが生じるという。
 
 同教授らは、「風力発電の事業性評価では、これまで主に年間平均風速のみが議論されてきたが、風車は建設後が最も重要。10年~15年はその寿命を全うし、健全に運転する必要がある。今後、産官学各界で風力発電の「局所風況」の重要性を改めて共通認識として持つ必要がある」としている。