消費者庁は11月18日、消費者安全委員会がまとめた家庭用コージェネレーションシステム(家庭用コージェネ)の健康被害発生状況の報告書を公表した。それによると、今年8月までに同省に報告された不眠、頭痛、吐き気などの健康被害発生事案数は401件、申出件数は63件あった。事案数の内訳は、▽燃料電池コージェネ・49件、▽ガスエンジンコージェネ・11件、▽家庭用ヒートポンプ給湯器・341件と、家庭用ヒートポンプ給湯器が突出して多かった。同委員会は調査の目的を「事故の責任を問うために行うものではない」としている。
同委員会は、このうち27事案を調査した。その結果、発症者は燃料電池コージェネの事案で27名(男性10名、女性17名)で、ガスエンジンコージェネでは8名(男性3名、女性5名)だった。調査した事案では、発症者と同じ住宅にいても発症しない人がいた。このほか、発症者の年齢は未成年者~80歳代と幅広く、年齢別で最も人数が多かったのは40歳代だった。発症の原因は稼働中の運転音と振動で、同委員会は今後、申出者や相談者以外でも健康症状を訴える人を対象にしたインターネット調査の結果を分析する。また、物理的な音の測定と発症者の体感との対応関係も調査・分析する。さらに、症状を軽減する方策では、市販されているアクティブノイズコントロール技術を利用した消音装置の調査を進め、ほかの音で運転音を打ち消すマスキング音の症状軽減効果なども調べることにしている。 家庭用コージェネは、燃料電池が主機の「エネファーム」、家庭用ヒートポンプ給湯器の「エコキュート」などを各社が開発・販売している。