東京商工リサーチ(TSR)は10月31日、今年1-9月の太陽光関連事業者の倒産状況を公表した。それによると、9月までの事業者倒産件数は42件(前年同期比10.5%増)に上り、過去最多のペースとなった。このまま推移すると、年間最多だった昨年の54件を上回り、調査開始時(2000年)以降で倒産件数は最多となると懸念されている。
昨年1-9月の累計倒産は38件だったが、今年はそれを上回っており、負債総額も185億200万円(10.9%増)に上っている。負債額別では、1億円以上5億円未満が最多で18件(構成比42.8%)だった。次いで、1000万円以上5000万円未満が13件(30.9%)、5000万円以上1億円未満が7件(16.6%)と続く。前年同期比で見ると、1000万円以上5000万円未満の増加率が30%(10→13件)と高水準なのが目を引く。倒産の原因別では、「販売不振」が最も多く21件(50%)と半数を記録した。次いで、「事業上の失敗」が8件(19%)、「運転資金の欠乏」が6件(14.2%)という結果になった。同業他社との競合で財務基盤の強化が遅れたり、営業活動で十分なキャッシュフローを創出できず行き詰まるケースなどが確認されており、市場競争は他業界よりも厳しいという。
同社はさらに、今年5月に成立した改正再生可能エネルギー特措法で規定された入札制度が事業者を追い詰める可能性があると指摘している。入札上、より低コスト体質の事業者が有利になるのは当然で、企業体力のない事業者が市場から脱落する可能性がある。一方、住宅用でもイニシャルコストは諸外国と比べ高いとの見方もある。ドイツと比較した場合、日本は「設置費用」で2.7倍、システム全体では1.6倍もコストが高いとされる。事業用だけでなく、住宅用でも電力買い取り価格の議論が起きかねない状況となっている。そして、今後の展開として、「再生可能エネルギーの導入促進」と「賦課金を抑制し国民負担を低減」する、異なる性質の政策に板挟みにされた事業者への対応が必要になるかも知れない。事業者側も、独自での体質強化が難しい場合、事業統合やM&Aなどで経営を効率化する必要も出てくるだろう。同社は最後に「市場の急激な変化の中で、波に乗り切れない中小規模の太陽光関連事業者の淘汰は、しばらく続く可能性が高い」と警鐘を鳴らしている。