2016/10/17 ニュース
5社体制で水素・メタンの有効活用プロセス構築へ 日立造船ほか
 日立造船は、日本製鋼所など4社と共同で水素・メタンの有効活用プロセスの構築研究に参画する。今年10月~2017年9月の1年間に、水素-メタン-都市ガスの「Power to Gasシステム」の実現性や導入効果などを技術的・経済的に評価する。また、実証試験設備の仕様や試験計画を策定する予定。来年上期には実証フェーズへの進出を検討し、この段階をクリアすれば実フィールドでの検証に移行する。
 
 今回構築する「Power to Gasシステム」は、水素と、発電所や下水処理場などの排ガスから分離したCO2を反応させてメタンを製造する。水素は、電力グリッドに接続された遠隔地の再生可能エネルギー(再エネ)の変動成分を模擬した電力で製造する。製造した水素とメタンは、熱量を調整するなどして都市ガスを合成できるほか、都市ガスの供給インフラで輸送・利用できる。また、合成された都市ガスを水蒸気改質して水素を取り出せば、大規模な設備投資なしに水素のサプライチェーンを早期に構築できる見込み。さらに同システムを実用化すれば、既存のインフラを活用して再エネ導入が促進できるという。このプロジェクトで。同社は変動負荷応答性メタネーション装置の基礎設計を受け持つ。日本製鋼所は全体のシステム検討と経済性評価を、富士電機は再エネ・Power to Gasサイト間の遠隔通信技術の基礎検討をそれぞれ担当する。この3社のほか、旭化成は水電解装置の熱的特性の基礎調査、エア・ウォーターはガス分離・精製プロセスの基礎検討を行う。