東京商工リサーチ(TSR)は8月30日、「2015年『電力事業者』の新設法人調査」を公表した。それによると、昨年に全国で新設された法人12万4996社のうち、電力事業者は前年比33.4%減の2189社だった。エネルギーの種類別では、太陽光やソーラーエネルギーを活用する新設法人が1461社(42.5%減)と、減少幅が大きかった。
同社は、この結果を「調査を始めた2009年以降、初めて電力事業者の新設数が前年を下回った」と指摘した。発電事業者などの新設が減少した背景には、まずFIT制度で太陽光に由来する電力の買い取り価格が、段階的に引き下げられたことが挙げられている。また、参入企業の過剰感や市場拡大が鈍化し、投資の費用対効果を見出せず、新たなビジネスモデルとしては厳しいとの見方が広がったことも影響したという。都道府県別の動向では、40都道府県で減少した。前年比で新設社数が増加したのは、京都府(新設社数35社、133.3%増)、栃木県(82社、74.4%増)など7府県にとどまっている。一方、大分県(17社、73.4%減)、宮崎県(23社、68.9%減)などで新設社数が大きく減少した。東京都は新設社数が776社(構成比35.4%)と突出して増加したが、前年比では12%減となった。法人格の形態別では、合同会社が1201社(構成比54.8%)で最多だった。
同社は、昨年5月に成立した改正再生エネルギー特別措置法の影響で、新設法人数はさらに減少する可能性があると見ている。現在の再エネ市場は、太陽光発電を中心に閉塞感を漂わせており、今後は地熱やバイオマスなどその他の再エネに主要市場が移行する模様。これと並行して、安易な事業計画で参入した企業や、過剰投資に陥った関連事業者は再編や淘汰が加速する可能性があり、今後の動向を注視する必要があるとしている。