東京商工リサーチ(TSR)は8月2日、今年上期(1~6月)の太陽光関連事業者の倒産状況を発表した。同社の調査によると、同期の倒産件数は31件(前年同期比24%増)で、2000年以降では上期ベースで過去最多だった。年間ベースでも、過去最高だった昨年の54件に迫る勢いで、2013年、2014年の各28件を抜いて過去2番目の水準になっている。同社は、主な倒産原因をFIT制度の買い取り価格引き下げや、事業者の乱立による競争激化などが背景にあると分析している。太陽光関連事業者の倒産は、発電設備への先行投資もあり他の業種より負債規模が大型化しやすい傾向にある。
上期に倒産した事業者の負債総額は176億3200万円(18.6%増)に上っている。同社は、今年度の状況がこのまま推移すれば、昨年の負債総額213億5500万円を上回る可能性が高いという。この31件を負債額別に見ると、1億円以上5億円未満が最多で14件(構成比45.1%)だった。以下、1000万円以上5000万円未満が7件(22.5%)、5000万円以上1億円未満が6件(19.3%)と続く。倒産の原因別では、「販売不振」が最も多く16件(51.6%)と半数以上を占めた。そのほかの原因では、「事業上の失敗」が7件(22.5%)、「運転資金の欠乏」と「既往のシワ寄せ」がそれぞれ2件(6.4%)。これは注目市場として規模の拡大が見込まれ、一部企業が安易な事業計画で参入した結果、業績の見込み違いから倒産するケースが多くなっている表れだという。
同期の主な倒産事例で、最も大規模だったのは日本ロジテック協同組合の負債総額約120億円。自前の発電設備がなく、電力会社や自治体などから余剰電力を購入して安価に再販売するビジネスモデルが災いした。このほか、負債総額の大きなものでは東海住宅サービス(4月破綻、負債総額4億3800万円)、オプトリサーチ(1月破綻、約1億円)などが突出している。FIT制度の導入当初、太陽光発電は他の再生可能エネルギーより買い取り価格が優遇されていた。また、計画から稼働までが短期間で済むことも参入が相次ぐ原因だった。それを踏まえ同社は、現在の市場を「太陽光バブルは終焉、淘汰の時代に入った」と指摘。さらに、「企業の新設や業態転換、兼業などで太陽光関連の事業を手がけても事業の維持は難しい構造が浮き彫りになってきた」と、市場に参入するメリットが薄れつつあることも示唆している。