2013/04/02 ニュース
弘前市、エネルギーの地産地消目指し分散型電源で水素利用

 

 弘前市は平成27年度から、「津軽グリーン水素プロジェクト」として、市内の弘前市下水処理場で下水汚泥からの水素抽出と燃料電池への利用に着手する。岩木川浄化センターより搬入される2~4tの下水汚泥から年間10.0万立法mの水素を抽出し、大型燃料電池1台、家庭用燃料電池20台への利用を試みる。このほか燃料電池バス1台、公用車2台にも利用する方針。
 
 この計画は、国土交通省から日本総合研究所(日本総研)が受託して実施した「平成24年度まち・住まい・交通の創蓄省エネルギー化モデル構築支援事業」の一環。弘前市は「」弘前地域の資源を活用したエネルギー地産地消まちづくり構想~グリーン水素へのエネルギー変換による「つくる」・「はこぶ」・「ためる」の実現~」として両者が具体化した。弘前市は再生可能エネルギーが自然体で3%の利用率にとどまる一方、近隣に大規模な発電所がない。このため、「地域資源を活用したエネルギー地産地消まちづくり」を目指し、今回の計画を策定した。
 
 水素は水の電気分解などで得られるほか、トラック・鉄道輸送が可能。またガスと同様に貯蔵できる。これらの利点を生かし、周辺自治体と広域連携を図りつつエネルギー供給体制を実現する。そのリーディングプロジェクトとして、弘前市下水処理場と岩木川浄化センターの2年後の統合を機会に、平成27年度から3年間水素の抽出実験を行う。並行して市内循環バスの1台を燃料電池バスに転換、最終的には8台に増やす。小学校の跡地に水素供給用のスタンドも設置。事業経費としてバス導入に7000万円、水素スタンド設置に5億円、水素輸送用ローリー車(3台)使用に3500万円を見込んでいる。ただし、市は事業者の取り込みや費用・燃料電池バスの確保がなお課題だとしている。