日立製作所はこのほど、再生可能エネルギー導入時の課題とされる系統電圧の安定化を実現する技術を開発した。今後、国内外で実証実験を行い効果を検証する。開発したのは大域推定分散制御技術と呼ばれるもので、配電系統のエリアごとの再生可能エネルギー導入状況に合わせた段階的な設備投資を可能にする。また、電圧調整機器を集中的に制御するより安価に系統電圧を安定化できるという。
この技術は、配電系統の電圧と電流の関係を表す電力方程式を、部分的な計測値と連立させ、系統全体の電圧と電流を推定して補完する状態推定機能、補完された系統電圧に対する他の電圧調整機器の動作推定に基づき、系統全体の電圧偏差を解消するように電圧調整量を最適配分する推定制御機能を備える。この機能を分散コントローラごとに備えると、各分散コントローラで系統電圧が把握でき、制御面で活用できる。また、分散コントローラ間で制御情報が共有できない場合も、この機能を分散コントローラごとに備えることで、各分散コントローラが協調して電圧調整機器を制御し、電力需給の変化や電力流通設備の段階的整備に応じて系統電圧を安定化する。
日立の試算では、住宅1000戸中40%が太陽光発電を導入した配電系統を想定して静止型無効電力補償装置を2台用いた場合、系統電圧が規定電圧を逸脱する頻度を3%に低減させる効果を得た。