2014/12/10 ニュース
東北大など、貴金属触媒を使わない水素発生電極を開発
 伊藤良一・東北大学原子分子材料科学高等研究機構助教らの研究グループは、このほど3次元構造のグラフェンを用いた水素発生電極の開発に成功した。通常電極に用いられる白金に変わる代替材料として、二次電池の低コスト化などに寄与するものと期待されている。
 
 伊藤助教らは、平板電極と比べ、単位触媒体積あたりの表面積を約500倍に増大させた「3次元ナノ多孔質グラフェン」を開発した。電極特性を測定すると、水素発生電極として機能することを発見し、ニッケルと同等の電気エネルギーで水素を発生することも発見した。グラフェン電極は、白金と同等の水素を生産するには3倍程度の電圧が必要だが、白金の代替金属ニッケルとほぼ同等の水素生産量を持つため、エネルギー利用効率は良い電極とされる。白金と比べれば水素発生効率は若干落ちるが、白金がグラム当たり約5000円と非常に高価な点を勘考すると、エネルギー利用効率や材料コストで利用価値は十分にあるという。伊藤助教らは今後、グラフェン電極に少量のニッケルを添加し、白金以上の水素発生能力を持つ多孔質グラフェンの開発、リチウム二次電池の電極材料としての研究を進めていく。