富士経済は3月12日、報告書「2013年版 燃料電池関連技術・市場の将来展望」を刊行した。2012年10月~2013年1月に行った燃料電池システムと主要スタック部品の市場を、産業・業務用など需要分野別に調査した結果をまとめたもので、調査によると燃料電池システムの世界市場は、平成37年度に平成23年度比で74.2倍の5兆1843億円に伸長するとしている。
平成23年度の燃料電池システム市場規模は699億円。日本では家庭用が、北米では産業・業務用がそれぞれ市場を牽引した。平成24年度以降は引き続き家庭用と産業・業務用が市場を牽引し、平成25年度には3388億円になると予測している。平成37年度の市場予測のうち、産業・業務用は7341億円(23年度は359億円)、家庭用は1兆1190億円(159億円)の伸びが予測されている。今後は燃料電池車の商用化で市場構成比が激変し、37年度には燃料電池車が燃料電池システム市場の半数以上を占めるという。
産業・業務用の動向では、それぞれのエリアや国の環境政策や補助金などが影響し、導入時の補助が手厚い北米と燃料電池の発電を国策としている韓国に需要が集中している。エリア別では北米の市場が最大で、出力の大型化が進む傾向にある。形式ではSOFCの市場が最も大きい。欧州の多くで熱電併給システムがFIT制度の対象とされ、新しい市場と期待される。
家庭用ではPEFCとSOFCが主流で、日本での商用化が進んでいる。平成27年度の市場は1000億円超となり、家庭用市場は日本が世界をリードして拡大するが、欧州でも市場が立ちあがると見ている。エネファームは27年度に各社の普及機が発表されると予測している。今後PEFC、SOFCのどのタイプが優位になるかは、今後の開発にかかっている。