環境省は7月28日、秋田県湯沢市で計画されている「山葵沢地熱発電所(仮称)設置計画」の環境影響評価準備書に対する環境大臣意見を経済産業大臣に提出した。大臣意見では、温泉への影響を監視し、配慮することなどを求めている。同計画は、地熱発電所として環境影響評価法の施行後初めての対象事業となる。
同計画は、湯沢地熱が出力4万2000kWの地熱発電設備を湯沢市に建設するもの。事業予定地域の周辺は森林地帯で、トクホウサンショウウオなど希少な両生類が生息している。このほか、周囲には秋ノ宮温泉郷や川原毛地獄などがある。これらを考慮し、神奈川県温泉地学研究所からの助言を加味して今回の大臣意見提出となった。意見では、▽計画中の生産井と還元井は、可能な限り長期間維持し、将来の補充井の掘削や熱水輸送管の増設などを最小限にとどめること、▽運用の一環で、硫化水素が大気に放出されると想定される場合は、濃度レベルを予測し、影響を低減させること、▽温泉への影響が確認された場合は、その影響を回避すること、▽夜間に坑井掘削工事を行う場合は、照明の漏洩を極力抑えるなどの措置を講じること、などを求めた。