自然エネルギー財団(孫正義会長)は1月10日、「固定価格買取制度1年間の評価と制度設計に関する提案」を発表した。FIT制度施行から1年を経過した国内の再生可能エネルギー普及の現状などを総括したもの。提案によると、電力会社の回避可能費用が実態より安く見積られ、結果として1000億円超の賦課金が過剰に徴収されているという。
提案では、太陽光発電設備の牽引などで、制度施行から400万kW以上の自然エネルギー電源が稼働にこぎつけた。水力発電設備を除く平成25年度4月~10月の自然エネルギーなどの電力は、発受電量の2.4%を占めるまでになった。経産省から認定された認定設備容量は2361万kWに上っている。同財団は提案の中で、「FIT制度が自然エネルギーの導入加速に大いに貢献した」と高く評価した。反面、▽中長期的な自然エネルギーの導入目標がない、▽将来的な電力買取価格の見通しがない、▽事業計画のない設備認定案件の権利が売買されている、▽系統連係の確保が相変わらず不確実、▽賦課金が財団の試算では1000億円超と過剰に高い、などを指摘。これらの課題解決のため、①政府が速やかに野心的な中長期の導入目標を設定、②太陽光発電設備が発電する電力の買取価格は10kW未満の低圧、50kW未満の低圧、2MW未満の高圧、2MW以上の特別高圧に区分すべき、③設備認定の運用を厳格化し、進捗が見られない案件は認定を取り消すなどの措置を取る、④政府が平等な系統連系が担保されるよう監視し、電力会社は系統運用情報を徹底的に開示する、⑤電力会社は適正に賦課金を算出・評価し、日本の現状に適合し実態を反映した回避可能費用の算定を行う--などを提言した。