経済産業省は1月7日、昨年11月から試算してきた洋上風力発電設備のコスト検討結果などを取りまとめ公表した。それによると、国内の風力発電事業者からのヒアリングなどを踏まえて試算したプラント設置費用はkW当たり45~79万円と、欧州の22~45万円に比べ2倍以上の高コストとなることが判明した。
同省は千葉県銚子沖と福岡県北九州沖でそれぞれ洋上風力の実証試験を実施している。今回設置された同省の「洋上風力の調達価格に係る研究会」(座長・牛山泉足利工業大学学長)は、風車1基の実証事業を20~50基規模のウィンドファームに拡張した場合の費用を試算。その結果、kW当たりのプラントコストは107万円、112万円、年間の運転維持費は2万3000円、3万1000円となった。いずれも高い水準だが、研究会は実証事業が大型風車や沖合の大水深などに対応しうる高価な基礎構造であること、利用可能な既存の施設・工法など実証実験のコスト構造を拡張したデータを用いていることなどから、海外事例や事業検討段階にある事業者のデータなどを参照すれば、この水準は十分下げうると評価している。
また、発電事業者3社からのヒアリングでは、参入を検討している一部事業者から、欧州並みに「プラントコストは45万円/kW、年間の運転維持費2万1000円/kW」でも可能だという報告があった。これに対し、出席していた委員からは「利害関係者の特定が容易な港湾内の開発案件では調整コストが安価」、「事業リスクや設備利用率の見通しなどが不十分」との指摘も見られた。これらを踏まえ、委員会は海底条件が良く、比較的高い設備利用率が期待できる場合、プラントコストは54~59万円、運転維持費は1万5000円~3万円と試算。一方、沖合で大型風車を設置するため高価な基礎構造を想定した場合ではプラントコストが75万円・79万円、運転維持費は2万1000円・2万3000円と高額化するとした。専門家はこの2ケースの中間が有望としているが、地理的環境や風車・基礎構造の種類で、適切なコスト水準の評価も分かれるとの見解となった。今後は、どう調達価格を設定していくか調達価格等算定委員会が議論していく予定。