自然エネルギー財団はこのほど、太陽光発電事業者や施工事業者などに行ったアンケートの結果を公表した。インターネットで抽出した事業者673社を対象に、今年9月~10月に実施したもの。有効回答総数は163件で、回答率は24%だった。アンケートの対象は出力10kW以上の太陽光発電設備を設置した販売・施工事業者(回答比率30%)、開発事業者(6%)、施主(44%)など。
最初の設問で、事業規模を聞くと76件(47%)が「出力50kW以上・1MW未満」と最も多かった。計画中の案件は全部で128万kW、建設中の設備容量は70万kWに上った。販売・施工事業者(69社)にのみ関連売上高を聞くと、「大いに増加」が69%、「やや増加」が22%と「増加」が91%だった。今後の事業見通しでは、「更に拡大」が20%、「やや拡大」が22%となった一方、「同程度」は20%、「やや縮小」が6%と見通しが割れた。次に事業断念の理由を聞くと「系統連係の不調」が多く36件(回答者数の22%)、次いで「土地調達の不調」が35件(21%)に上った。断念件数は167件が見られている。系統連係の問題は深刻で、事業遅延理由でも「系統連係工事の遅れ」が34件(21%)を占めた。連携線工事は電力会社に依存している事業者が多く、27件(73%)が依頼している。系統連係で必要な情報は「連系可能量」(106件)、「連系に係るコストや工期などの情報」(88件)、「送電系統図」(82件)が多かった。
発電設備のコスト面では、モジュールが設備全体の43%を占める。パワーコンディショナー、架台などはそれぞれ全体の10%前後にとどまっているが、一方で工事費は19%と比較的高い。電力会社に支払う系統接続費用は1%程度だった。最後に自由回答で、電力会社への要望事項などを聞くと「具体的な工期や連系費用などはブラックボックス化され、事業者側で精査できない」、「最近は電力会社からの負担金工事費が数十万~千数百万と大変増大している」、「資材が品薄状態で、納期が大幅に遅れている」などのコメントが寄せられた。これらの結果から、同財団は最近経産省などが問題視している設備認定案件の進捗遅延を「系統連係や資材調達の遅れなどは、事業をめぐる外的要因に基づくものといえる。注目すべきは、こうした理由によるものも相当数あり、単純に運転開始が遅れている理由を事業者の意図的なものに帰することはできないだろう」としている。