内田孝紀・九州大学応用力学研究所准教授はこのほど、エヌエスウインドパワーひびき(福岡県北九州市)が運営する風力発電所「響灘風力発電所」で、風況面の影響などを調査した。九州電力グループの西日本技術開発(福岡市)、環境GIS研究所(同)と協力して実施したもので、 日本電気製のスーパーコンピュータ「SX-9F」を用い、数値風況診断などを実施した。
同発電所は米GEウィンドエナジー製の風車(出力1500kW、ブレード直径70m、定格風速12.0m/秒)を10基設置している。今回の調査は、今年京都府、三重県、北海道で相次いだ風車の損壊事故を懸念したエヌエスウインドパワーひびきが、同大学に依頼して行われた。内田准教授は、気象庁が配信する平成24年の気象GPVデータを解析する一方、西日本技術開発に風速、風向き、発電量など同発電所の実測データ解析を依頼。並行して気象GPVデータの解析結果から、数値風況診断技術「リアムコンパクト」で北西、南東の風の動向を計算した。環境GIS研究所は、発電所周辺の地形や地上構造物などをコンピュータ上へ再現。これらの計算・分析結果を突き合わせた結果、同発電所には、周辺の地形や地上構造物が由来の乱流の影響はほとんど見られないことを確認した。