2013/12/06 ニュース
産総研・積水化学、室温プロセスでフィルム型太陽電池を試作
 廣瀬伸吾・産業技術総合研究所先進製造プロセス研究部門先進コーティング技術プラットフォーム研究班主任研究員らは、積水化学工業R&Dセンターと共同で、室温プロセスでのフィルム型色素増感太陽電池の試作に成功した。低コストかつ大面積のフレキシブルな色素増感太陽電池の生産に道筋をつける技術で、両者は今回の技術確立は世界初だとしている。
 
 この太陽電池は、産総研のセラミック材料の常温高速コーティングプロセス「エアロゾルデポジション法」と、積水化学の微粒子制御技術・多孔膜構造制御技術・フィルム界面制御技術を併用して試作した。光電変換層とフィルムの高い密着性、良好な電子輸送性能を両立しており、変換効率8.0%を達成。この値は、有機フィルム上の色素増感太陽電池としては世界最高水準という。また、高速衝突エネルギーによる微粒子結着メカニズムを利用し、従来の高温焼成セラミック形成プロセスを不要とした。このように製造負荷が削減できたため、室温でのフィルム化が可能になった。両者は、耐熱性の低い汎用フィルムや粘着テープのような材料にも成膜できると期待しており、今後は量産技術を確立。積水化学製品への適用検討を進め、同時に幅広く事業パートナーを募って用途展開を拡大していく方針。2015年中の商業化・市場参入を目指す。