石原伸晃環境相は12月5日、茂木敏充経産相に資源エネルギー庁が福島県沖で実施している洋上風力発電設備の実証事業について、環境大臣意見を提出した。大臣意見では、事後調査の適切な実施や、必要に応じて追加的な環境保全措置を取るなど、洋上風力発電が国内で未だ事業化されていないため慎重な姿勢で臨むよう求めている。
大臣意見では、今回の実証事業を「得られた知見が公表され、今後の洋上風力事業の検討に役立てば、本事業が果たす役割は大きい」と評価している。その一方で、「現時点では予見できない艦橋影響が生じた場合には、適切な環境保全措置を講じ、その効果の検証が今後の洋上風力発電の普及につながる」としている。意見の各論部分では水中騒音、動物の生息環境について触れており、▽工事工程で水中騒音を調査し、必要に応じて環境保全措置を取ること、▽水中騒音が魚類などに与える影響は適切な頻度・地点で計測し、事後調査を行う、▽鳥類への影響を回避するため、鳥類が忌避するような環境保全措置を検討する、▽鳥類の進入状況の確認と衝突の監視を高い頻度で実施し、必要に応じ環境保全措置を行ったり、調査期間を延長すること、などを求めている。同事業は丸紅、三菱重工業、新日鐵住金など11社・団体で構成する福島洋上風力コンソーシアムが進めているが、今後は 今回の大臣意見と福島県知事などからの意見を受けた経産相勧告を踏まえ、環境影響評価を行う義務が生じると見られる。