京都大学は、戸田建設、パシフィックコンサルタンツ、東洋建設、オリエンタル白石の4社と10月4日付で、「海洋インバースダムの会」を設立した。海水揚水発電の技術を応用し、エネルギー蓄積機能を持つ海洋インバースダムの研究開発と建設提案を目的とするコンソーシアムで、10月~平成26年9月を第1フェーズとし、実証試験用ミニマムモデルの構造方式の最適化などを進めていく予定。
海洋インバースダムとは、沖縄県で稼動中の沖縄やんばる海水揚水発電所(電源開発保有、最大出力3万kW)の技術に着目。全天候的に稼動する大容積の海中ダムを建設して、大電力の貯電と大出力の水力発電所を構成することを企図したもの。最大備蓄量は2km平方の標準ダムで2.2億kWhと見積られており、季節変動や気象条件に影響されない揚水発電機能(20~30万kW/1ユニット)を持つ。また数十秒で電力供給が可能で、海水以外の液体を使わないため、事故時でも海洋汚染は発生しない、などの優れた特徴を併せ持っている。
会では今年度から始まる第1フェーズで、▽シミュレーションと理論解析による強度や機能の設計、動作原理の確認、▽実証試験用ミニマムモデルの構造方式の最適化、工法、設計図面の確認、▽ダム建設の社会的コンセンサスの見通しと調査、▽実証試験装置の建設場所候補の選定とコスト試算、事業モデル案策定、▽研究開発組織の充実と人材の確保、第4次科学技術基本計画との整合性の検証、▽知的財産の調査と創造的研究体制、会員規約の完成、▽マイクロ波電力受電装置の構造的検討、などを進めていく。