自然エネルギー財団は9月19日、FIT制度下で電力会社が電力料金に対して設定している再生可能エネルギー(RE)賦課金について「回避可能費用の計算方法に関する分析」と題した報告を発表した。それによると、全電源での平均運転単価ベースで回避可能費用を試算した場合、REは石油火力の運転単価や卸電力価格ベースの電源に比べ、賦課金が約1100~1400億円過大になっているという。
回避可能費用とは、電力会社がRE由来の電力を買い取り、その分自社で発電しなくて済むため、火力発電など既存電源の稼働を減らし、燃料費や発電設備を削減できる。この削減された費用分を指す。一方賦課金は、RE電力の買い取り費用として電気料金に「再エネ賦課金」として上乗せされている。平成24年度は約1300億円、今年度は約3100億円と見られており、一般家庭などから電力消費量に上乗せされ、電力会社に買取資金として交付されている。これは電力の買取費用などから回避可能費用を差し引いたもので、経済産業省は、回避可能費用の算出に全電源の平均運転単価を用いて計算している。同財団は、この手法は妥当でないとし、石油火力発電の運転単価や卸電力価格など。運転単価が最も高い電源の運転単価を回避可能費用とするべきだとしている。今年度のRE電力の買取予測量は161億kWhと見られ、これらを指標に回避可能費用を試算すると、全電源平均運転単価ベースのものよりも1000億円以上高くなる。 この差額を同財団は「無視できるものではない」とし、「経済産業省の計算手法は、実際よりも回避可能費用がかなり過小評価されている。実態に合った回避可能費用試算のあり方に早急に修正し、適切な費用負担の仕組みを構築することが、長期的な自然エネルギー普及促進には不可欠である」と報告を結んでいる。