大阪市立大学工学研究科、大阪市などのグループは、太陽熱温水パネル、下水処理水から熱回収するヒートポンプ、消化汚泥からの熱交換器などを用いて消化ガス有効利用システムを開発する。環境省の今年度CO2排出削減対策強化誘導型技術開発・実証事業(環境省委託事業)に採択された研究で、下水処理場で消化槽の加温燃料に使われていた汚泥処理工程で発生する消化ガスを、太陽熱、下水熱など未利用熱エネルギーに代替させるシステムを開発する。
今回の研究は、太陽熱、下水熱、汚泥熱を回収し、消化ガスの有効利用量を最大化するシステムを開発するもの。これら未利用エネルギーを組み合わせ消化槽を加温する試みは国内初という。今年度から平成27年度までの3年間、大阪市内の下水処理場で研究開発と実証事業を行う。この研究では▽下水処理水などからの熱回収と太陽熱が熱源の高効率ヒートポンプ開発、▽太陽熱を熱源にするため、全体で連携しながら分散制御するスマートバルブとマルチセンサーの開発、▽低コストでメンテナンスが容易な汚泥用熱交換器の開発、▽これらにより、季節・天候で変動しやすい太陽熱、低温しか得にくい下水熱、夾雑物が多く目詰まりしやすい汚泥熱を回収し、これらの熱利用を最適化する制御システムの開発、などを目指す。これらのシステムを実用化し、国内の全下水処理場に導入した場合、エネルギーレベルは100万kW級の発電所に相当する。また副次効果として年間約54万tのCO2削減効果が見込まれる。