山梨県では地球温暖化対策実行計画の中核施設として、
山梨県甲府市に東京電力と共同で「米倉山太陽光発電所」を建設。
12.5haの広大な敷地に、約8万枚の太陽光パネルが設置され、
内陸部最大規模を誇る、太陽光発電所である。その巨大な「メガソーラー」を視察してきた。
内陸型最大級を誇る、太陽光パネル約8万枚
「米倉山太陽光発電所」は、山梨県と東京電力の共同事業として、2010年10月に太陽光パネルの設置工事を開始し、2012年1月に完成し営業運転を開始した。山梨県の日照条件の良さを生かした“内陸型”としては日本最大級となる太陽光発電所である。出力は最大10,000kWで、年間約1,200万kWhの発電量を見込んでいる。これは一般家庭約3,400軒分の電力量に相当する。
この発電所の太陽光パネルの設置角度はみな10°。一般的に効率が良いとされる角度である30°よりも浅い傾き。夏場の発電アップのためと風圧の影響を小さくするために有効な角度だそうだ。また、取材に立ち会っていただいた山梨県企業局電気課開発担当の川口浩主任の話では、角度を浅くすることで風圧の影響を少なくし基礎を小さくできたことによってコストダウン、および置き基礎工法によって工期の短縮にも繋がった、と経済的なプラス面も挙げていた。さらに、維持管理のコストダウンを図るために、雑草を生えにくくする「有機質土壌改良工法(CCクレイ工法)」の採用で、雑草が伸びて発電量を妨げる心配や除草する手間も省く工夫をしている。さらには、ヤギが雑草を食べて除草をしてくれているエリアもあり、雑草対策に取り組んでいる。
太陽光パネルの傾斜角度は10° PR施設「ゆめソーラー館やまなし」
発電所の隣には、太陽光発電をはじめとした再生可能エネルギーについての情報を展示する「ゆめソーラー館やまなし」が併設され、次世代エネルギーの情報発信や環境教育の場を提供している。また、この「ゆめソーラー館やまなし」で使用している電力は、屋上に設置した太陽光パネルにより20kW発電、敷地内の雨水を集め小水力発電による1.5kWの発電。太陽光発電による電気で水から水素を作り、その水素を使い燃料電池で発電。さらには、余剰電力はバッテリ等に蓄電(一般家庭の約3日分の消費電力)を活用。建物の地下には約100mのパイプ4本を設置し、地中の熱を利用して空調を行っているなど、エネルギーの“自給自足”によるCO2ゼロ運営を目指している。また、発電所の周辺には遊歩道もあり、約300本余りの桜が植えてある。将来は、お花見の名所としても知られることになるだろう。このように、「米倉山太陽光発電所」は、化石エネルギーによる発電所とは趣の異なった自然に溶け込んだ再生可能エネルギーによる発電所である。
(2012年11月2日取材 若生幸成)
取材をした「米倉山太陽光発電所」は、12月13日(木)~15日(土)
東京・ビッグサイトにて開催される「エコプロダクツ展」にて、
NPO法人「エコネット」とエコタイムズ社、武蔵野大学環境学部との連携プロジェクト
「分散型エネルギー社会の実現をめざして~内外の新しい動きを探る~」ブース内で
パネルによる事例紹介、およびビデオにてオンエアされます。
日本最大級の環境展示会「エコプロダクツ2012」 http://eco-pro.com/eco2012/