2019/03/14 ニュース
経産省、新ロードマップ策定で水素社会への転換を加速
 経済産業省は3月12日、同省の水素・燃料電池戦略協議会で議論してきた「水素・燃料電池戦略ロードマップ」を策定し公表した。昨年7月に第5次エネルギー基本計画と東京宣言(10月発表)が策定、発表されたことを踏まえて策定したもの。ロードマップではモビリティ、発電、水素サプライチェーンなど各分野で具体的な普及の目標などを設定している。
 
 このロードマップでは、同省が水素基本戦略に掲げた目標を確実に実現するため、基盤技術のスペックやコストの内訳などの目標を設定した。設定した各目標を達成するため、有識者で構成する評価ワーキンググループを設置、分野ごとにフォローアップを行う。以下、各分野ごとの目標では、2030年頃に水素発電を商業化するための技術を確立する。既設の火力発電設備で水素混焼条件の導入条件を明確化し、2020年までに水素専焼発電で発電効率を1%引き上げ27%にする。また、エネファームの設置台数を2030年までに530万台に引き上げ、低価格化も目指す。2020年頃までにPEFC型は80万円、SOFC型は100万円にまで価格を引き下げる。発電効率も2025年頃に55%以上、将来的には65%以上に性能を向上させる。水素サプライチェーンの分野では、2030年頃に30円/N立法m、将来的には20円/N立法mを目指す。LNG価格の推移も加味し、従来の化石燃料などと遜色のない水準まで流通コスト、価格を低減させる。これは、褐炭ガス化法での製造コストを、現在の数百円/N立法mから12円/N立法mにまで引き下げることで実現を目指す。加えて、同法での液化原単位を現在の13.6kWh/kgから6kWh/kgに引き下げることも志向する。
 
 モビリティ分野では、2025年からの本格普及期に備え、量産技術の確立や徹底的な規制改革などを行う。まず燃料電池自動車(FCV)では、2025年に20万台、2030年に80万台の利用を目指す。同時に、2025年頃にFCVにハイブリッド車並みの価格競争力を持たせ、現在の平均的な価格差300万円を70万円程度に圧縮する。2025年頃には主要な要素技術のコストも低減し、燃料電池システムは現行の約2万円/kWから5000円/kW、水素貯蔵システムは約70万円から30万円に価格を引き下げる。水素ステーションの整備も、2025年には全国に320か所、2030年には900か所程度にまで拡大する。燃料電池バスも、2030年には1200台の導入を目指す。このため、2020年代前半には価格を現行の1億500万円から5250万円に半減させ、事業者が導入しやすくする。燃料電池フォークリフトも、2030年には1万台を導入する一方、輸出など海外市場への展開も目指していく。