日立製作所は1月25日、風力発電システム事業の強化策を公表した。独エネルコン(本社・ニーダーザクセン州)製の風車を「コアプロダクト」に据え、保守サービス事業や太陽光発電設備などと組み合わせた地域密着型・協創型のエネルギー事業などソリューション事業を強化する。このため、エネルコンとの提携を強化し、競合企業が追随できないデジタルソリューションを組み合わせて新たな価値を提供する。まず、予兆・予測診断システムを用いて風力発電設備を安定的に稼働させ、保守コストの低減、設備パフォーマンスの最大化などに貢献するソリューション事業を強化する。具体的には、顧客の設備稼働情報をリアルタイムで収集し、故障を予測し、遠隔監視・支援センターからの遠隔操作でメンテナンスを支援する。これで想定外の発電停止を防ぎ、安定稼働に貢献する。また、同センターに集約された情報を解析・診断することで、迅速な保守員の派遣や的確な処置を実施し、修理コストの低減や停止期間を短縮して売電量の増加に貢献する。
さらに、最先端のAIを活用した新たなソリューションの提供も加速させる。同社は現在、一列に並んだ風車に流入する風の影響をAIで分析することで、個別に風車を制御して設備全体の発電量を向上させる技術を開発している。この開発は産業技術総合研究所や東京大学と共同で実証試験を進めており、今後これらの技術を活用して、年平均風速が比較的低い設置場所でも1基あたりの発電量を増加させるなどのソリューションも提供していくという。このほか、風力発電の導入を最大化しうる地域密着型・協創型ソリューションの提供も強化する。エネルコンとの提携拡大では、グループ全体でエネルコンの風車を取り扱う。同社のデジタル技術とエネルコンの風車を組み合わせ、ソリューション事業として販売活動を行う。これで、国内の風力発電機市場でトップシェアを維持するほか、同社のダウンウィンド型風力発電システムも、従来どおり保守・サービスなどを行っていく。