神戸製鋼所は、プレート式熱交換器向けの高伝熱チタン板「HEET」を開発し、沖縄県が久米島で実施している「平成24年度海洋深層水の利用高度化に向けた発電利用実証事業」の海洋温度差発電設備(発電出力50kW)の熱交換器用として供給した。同事業には同社のほか、IHIプラント建設(設備全体)、ゼネシス(発電ユニット、熱交換ユニット)、横河電機(発電ユニット監視制御システム)の3社が参加している。純チタン薄板の海洋温度差発電設備への採用は世界初という。
この高伝熱チタン板は、チタン薄板の表面に微細な突起を付与したもので、発電設備の熱伝達性能を20%以上向上させる効果がある。熱伝達効率の向上で、小さな温度差でも発電できるようになり、発電が可能な地域が増えると期待されている。発電用に汲み上げる海水の量を減らし、設備が消費する電力も減らす効果があるとされ、熱交換器をコンパクト化し設備コストを圧縮するなど発電コストの低減にも寄与する。今回の実証事業では、3月30日に発電が確認され、熱サイクルの安定性・制御性の検証や熱交換器の性能試験を実施中。今後は実用化に向けた発電コストの低減や沖縄県海域での洋上型システム設置に関する検討が行われる。