環境省は7月3日、「太陽光発電のリサイクル・適正処理等に関する検討チーム」(チーム長/武部新・環境大臣政務官)が対応のあり方などを検討した結果を公表した。同チームは、今後大量発生すると見られる廃太陽光発電パネル、モジュールのリユース・リサイクルなどで発生する課題などを推測・検討してきていた。これらの課題を検討・解決するため、同省は今夏にも検討会を立ち上げる。
現在、太陽光発電パネルは累計で出力約42GW、約420万t(昨年9月末時点)が導入されている。一方、廃パネル・廃モジュールは年間約4400tが発生し、そのうち約3400tがリユースされ、約1000tがリサイクルされるか最終処分されていると見られる。2030年には導入量が64GWに達し、2030年代後半には年間約50~80万tの廃パネルが発生、その後も年間約30~40万tの廃パネルが定常的に排出されると予測されている。現状では、廃パネルに含まれる鉛などの環境負荷を懸念し、一部の最終処分業者が受け入れに慎重な姿勢をとっている。また、パネルは製品寿命が長く、排出時にはメーカーの倒産などで、メーカーから有害物質の情報が処理事業者に適切に伝達されない可能性もある。さらに、単純に処理を市場原理に委ねれば、コスト上リサイクルが選択されにくい。廃パネルで、アルミ枠を除く部分を埋め立て処分すると、ピーク時で年間230~370億円相当の銀などが未回収となる。その埋め立て処分する処分場も、アルミ枠以外を埋め立て処分した場合、ピーク時には2025年度の産業廃棄物最終処分量目標値の4~7%を占めると見られている。
これらの点から、同チームは▽排出量が大幅に増加する将来も見通して、安定的に処理できる体制を整えること、▽メーカーなどから有害物質の含有情報を提供させ、適正・円滑な処理体制を確保、▽リサイクル・最終処分コストの変動に関わらず、安定的に廃パネルがリサイクルされる状況を整えること--が必要だとした。これらの現状や課題を踏まえ、同チームは「こうした条件を満たし、円滑かつ効率的にリサイクル・適正処分がなされるような制度を、できるだけ早期に導入すべきである。このような制度の早期導入が、国内リサイクル産業の振興や、先進的なリユース・リサイクル技術の国際展開につながると期待される」と結論づけた。