トヨタ・モビリティ基金はこのほど、昨年7月に創設した助成スキーム「水素社会構築に向けた革新研究助成」で、10件の研究テーマに助成すると発表した。このスキームは、CO2フリーで低コストな水素の利用を早期に実現する研究テーマを募集・助成するもの。2025~2030年頃に実用化される研究テーマが対象で、2017年度は「水素製造」、「水素貯蔵・運搬」、「水素利用」、「エネルギーシステム」の4分野で公募した。この結果、応募総数32件の中から、有識者で構成する評価委員会(委員長/佐々木一成・九州大学副学長)が審査して決定した。助成が決まったテーマ10件は以下の通り(カッコ内は代表者と所属機関)。
▽再エネ推定発電電力と水電解モデルによる水素製造システムの動的シミュレーション(小島宏一氏・産業技術総合研究所)、▽光電気化学水分解反応における触媒/溶液界面構造の解明(佐藤正寛氏・東京大学)、▽ステンレス鋼を水電解触媒として高機能化する革新的表面改質技術開発(轟直人氏・東北大学)、▽プロトン導電性固体電解質デバイスのための空気極開発(松井敏明氏・京都大学)、▽CO2フリー水素製造のための水電解用革新的酸化物系触媒の開発(松澤幸一氏・横浜国立大学)、▽水素の室温大量貯蔵を実現する多孔性高次構造の分子ダイナミクス描像に基づく解明と先導的デザイン(金賢得氏・京都大学)、▽水素エネルギーキャリア合成のための有機ハイドライド電解槽の高効率化(長澤兼作氏・横浜国立大学)、▽多孔障壁を用いた高圧水素貯蔵設備における保安距離代替措置の検討(朝原誠・岐阜大学)、▽空間情報を考慮した持続可能なCO2フリー水素供給システムの設計(古林敬顕氏・東北大学)、▽再エネ電源とFCVを用いた電力・水素複合エネルギーシステム実現のための研究(吉岡剛氏・東京大学)