総務省は9月8日、調査報告「太陽光発電設備の廃棄処分等に関する実態調査」を公表した。この調査は、廃太陽光パネルの適正な処理の確保やリユース、リサイクルの促進を図るため、廃パネルの廃棄処分などを調査し取りまとめたもの。報告と並行して、同省は、環境省と経済産業省に、現状の廃パネル処理を改善することなどを勧告した。同省の見通しでは、2015年の廃棄量約2400tから2040年には約80万tと、2030年代半ば頃から廃パネルの排出量が増加する。特に住宅用は、2015年の廃棄量677tから2030年には2万5329tと急増する見込みという。その一方、台風などの災害で損壊したパネルで感電したり、鉛やセレンなどパネルに含まれる有害物質が流出するおそれも指摘されている。環境省は平成28年3月、リユース・リサイクルや適正処理が図られるようガイドラインを策定している。だが、産業廃棄物として扱われても、現場で感電の防止措置が講じられないまま3か月間放置されたケースが見られた。また、自治体でも災害の発生時に、感電の危険性・有害物質流出の危険性を伝える注意喚起は行われていなかったケースがあった。
廃パネルは現在、遮水設備のない安定型処分場に埋め立てする処理法が主流になっている。施工業者や産廃処理業者からも、現状のままでは回収~処分が安定的にされていないと認識している意見が同省に寄せられた。その中には、▽「有害物質の含有を知るメーカーが中心となって、効率的な回収処理システムを構築する必要がある」(排出事業者/販売施工業者)、▽「家電リサイクル法のような個別法を新たに制定し、メーカーなどに廃パネル引き取りを義務付ける必要がある」(同)、▽「現状では、メーカーと処分側との協力体制ができていないと考えられる。メーカーを中心に産廃処理業者と連携した回収処理システムを構築する必要がある」(排出事業者/発電事業者)--などの意見が見られた。