環境省は8月1日、「再生可能エネルギー(再エネ)活用によるCO2削減加速化戦略(中間報告)」を取りまとめ公表した。今年4月から山本公一環境大臣の指示で、森本英香事務次官がチーム長の再生可能エネルギー推進チームが検討してきたもの。中間報告を踏まえ、同省は今後経済産業省などの関係省庁や自治体、国民などと連携し、戦略を仕上げ、具体的な施策とその進捗管理につなげる。
中間報告は、▽需要・地域側での省エネ・再エネ・蓄エネ促進、▽地域の豊富な再エネ供給ポテンシャルを活用する2つの方向性が柱となっている。2012年のFIT制度施行以来、現状では▽電力会社などの系統の混雑、▽気候など自然変動に対する調整、▽賦課金の国民負担の増大、▽案件開発に伴う自然環境への負荷の増大、▽地元社会との不調和--などの課題が顕在化している。これらの課題から、▽ゼロ・エネルギー・ハウス(ZEH)など、省エネ・蓄エネと合わせた再エネの導入、▽地方自治体と連携した再エネ・省エネ・蓄エネを一体化して提供する企業活動の促進、▽ 安く大量に電力を供給しうる大型再エネ電源を周辺環境や地元と調和した形で開発、▽ 地域ごとの特色ある再エネ資源を開発し、利益を地域に還元、▽系統利用の合理化や系統の強化--などが解決の方向性として示された。このため中間報告では、ZEH化や省エネ改修を支援する施策、地域エネルギー企業に民間資金を呼び込む財政支援などが必要としている。このほか、地域の豊富な再エネの供給ポテンシャルを活用するため、地域主導で持続可能な再エネ開発を促進する必要を訴えている。このスキームで開発できる再エネ電源は、▽洋上風力などの大型電源、▽ベンチャーの新電力企業などが地域に利益(売電収入など)を還元する形の地域再エネ事業、▽小水力、家畜糞尿を利用するバイオマス発電設備など、小規模な地産エネルギー--などが具体例に挙げられている。