2017/08/07 ニュース
日立など4者、宮城県で再エネ由来の水素を家庭などに供給
 日立製作所と丸紅は8月4日、宮城県富谷市で水素サプライチェーン構築のための実証を行うと発表した。富谷市とみやぎ生活協同組合(みやぎ生協)も協力し、今月から実証に着手する。この実証は、環境省の「平成29年度地域連携・低炭素水素技術実証事業」に採択されたもので、成果を2019年度までにまとめる。4者は、太陽光発電設備で発電した電力を水素に変換させ、金属製のカセットに水素を貯蔵して輸送する。富谷市内に点在するみやぎ生協組合員の家庭、みやぎ生協の店舗と児童クラブに水素を供給する。
 
 水素製造に用いる太陽光発電設備は、みやぎ生協の物流センターにある既設設備を利用する。太陽光由来の電力で水電解装置を稼働して水素に変換し、変換された水素は専用のカセットに貯蔵する。カセットは、冷却や加圧すると水素を吸収し,加熱や減圧により水素を放出する水素吸蔵合金で製造する。このカセットを、みやぎ生協の既存物流ネットワークを利用して各種配達品とともに利用者に輸送する。利用者は、輸送されたカセットを純水素燃料電池に取り付け、水素を取り出して電気や熱に再変換して利用する。4者は既存の物流ネットワークを利活用するため、低炭素・低コストで水素を輸送できるのが大きな利点だとしている。このほか、各家庭の燃料電池に貯蔵された水素は、夕方から夜間に利用することで太陽光発電の減少分を補える。日立製作所は、取りまとめ企業としてシステム全体を設計し、水電解装置や燃料電池などの主要機器を整備する。また、需給バランスを保ちながら水素貯蔵・配送計画を行う全体運用を管理する。丸紅は、事業化時の経済性などを検討し、課題解決に向けた施策を提言していく。富谷市は、実証場所の提供と、水素物流を普及・促進する啓発活動や、CO2を排出しない未来都市構想を検討する。