2017/08/04 ニュース
2020年度のパワコン市場規模は630億円に減少 矢野経済研究所
 矢野経済研究所は8月2日、国内の新エネルギー用パワーコンディショナー(パワコン)市場を調査した調査結果概要を公表した。同社が7月27日に発刊した調査報告書「新エネルギー用パワーコンディショナー市場 2017」(A4判138頁、頒布価格15万円)の抄録で、今年4月~7月に国内メーカーやその販売元企業などを調査した結果をまとめた。概要によると、国内のパワコン市場はFIT向け需要の先細りなどで、2020年度の市場規模は630億円に減少すると見られている。
 
 2016年度の市場規模(メーカー出荷金額ベース)は1284億6500万円(前年度比28.3%減)と、前年度実績を大きく割り込んだ。今年度の市場規模は1273億9000万円(0.8%減)と微減にとどまる見込み。既に電力買い取り価格の引き下げなどの影響が表れ始めたと見られ、既に2015年度中から、産業向けで単価が安く多数を連系できる機種のニーズが高まり始めた。これに伴い海外メーカーの営業展開が活発化し、価格競争を仕掛けられた国内メーカーは軒並み苦戦を強いられているという。また、出力1MW以上の大規模太陽光発電設備は設置に適した土地が少なくなり、パワコン需要も減少傾向にある。50kW未満の低圧連系用途も、市場は立ち上がったが需要は長続きしなかった模様。住宅向けのパワコンも、需要は安定しているが大きな伸びも見られない。
 
 今年度に施行された改正FIT法も大きく市場動向に影響した。資源エネルギー庁は、2016年6月までに接続申し込みのあった案件で、電力会社と系統接続の契約を施行日までに締結しなかった認定失効数を45万6000件(容量では2766万kW)としている。件数ベースでは申し込み案件中の14.5%、設備容量ベースでは26%の案件が失効とされ、その大半が太陽光発電設備だったという。もう一つの動向として、低価格化が進行したことが挙げられる。100kW以上帯の大型パワコンは、需要の減少と電力買い取り価格の低下で低価格化ニーズが強まり、出力の小さい10~100kW未満の中型を多く連系する傾向が進む見通し。これが結果的に、海外メーカーのシェアを後押しするという。今後の需要動向は、2018年度以降も減少が続き、2020年度の市場規模は630億円に落ち込むと予測されている。住宅向けは、2019年度頃から FIT制度で規定する10年間の固定価格買い取り期間を終えて代替需要が期待できる。しかし住宅向けだけで全体の市場をカバーできるはずもなく、FIT制度を当て込んだ需要は期待薄となる。メーカーや販売会社などは、その代わりの需要を開拓する必要性に迫られてくる見通し。有望な分野として、同社は企業の自家消費用向けや、蓄電池向けの製品が多く開発されると見通す。またZEHなど、太陽光以外の再生可能エネルギー発電向けに営業活動が強化されることも予測されている。