2017/07/28 ニュース
千代化など4社、国際間水素サプライチェーン実証事業に着手
 千代田化工建設(千代化)は7月27日、水素の国際間サプライチェーンの実証事業に本格着手すると発表した。同社と三菱商事、三井物産、日本郵船の4社で「次世代水素エネルギーチェーン技術研究組合(略称AHEAD)」 を設立し、1年間で最大210t(燃料電池自動車約4万台にフル充填できる量)の水素を供給する予定としている。まずブルネイ・ダルサラームに千代化の水素製造プロセス、SPERA水素技術を用いる水素化プラント、川崎市臨海部に脱水素プラントを2019年までにそれぞれ建設する。
 
 SPERA水素技術は、資源国で調達した水素とトルエンを化学反応させ、メチルシクロヘキサンという常温常圧で液体の物質に変換して貯蔵・輸送するもの。輸送後、需要国でトルエンと水素に再び分離させる。2020年には、ブルネイで調達した水素を変換して日本に船便で海上輸送する。輸送された水素は川崎市臨海部で気体の水素に戻し、気化後に昭和シェル石油グループの東亜石油(川崎市)に供給する。この水素は、東亜石油京浜製油所内にある火力発電設備の燃料などに使用する。プラントは今年8月~2019年12月の予定で建設し、2020年1月から1年間実証運転を行う。AHEADには三菱日立パワーシステムズ、日本政策投資銀行も協力する。今回の実証は、経済産業省の「水素・燃料電池戦略ロードマップ」で策定されたフェーズ2を実現するため行う。2020年以降と見られる商用化への布石とし、2030年頃と見込まれる発電事業用水素発電を本格導入する際に必要な海外からの水素の大量輸送・供給技術を確立する。