ユーラスエナジーホールディングスは6月15日、「ユーラス河津ウインドファーム」(静岡県河津町、総出力1万6700kW)で4月15日に発生した風車破損事故の概要版報告書を公表した。報告書はユーラステクニカルサービスがまとめた。報告書では、事故原因は、タワー中間部の制御盤内でメインスイッチがトリップし、地絡(絶縁されていなければならない電路が、大地と電気的に接続されること)が発生したことではないかと見られている。
事故が発生した機種は、米ゼネラル・エレクトリック(旧アルストム)製の「Eco74-1.67」。単機出力は1670kWで、2015年5月15日に稼働している。地絡の発生で、制御盤内に事故電流が流れ、電流の高熱で発火し、事故電流が遮断されても延焼が続いた模様。制御盤は焼損し、火は電源ケーブル沿いにタワー上方へ延焼したと推定されている。事故機は、メインスイッチ背面にある絶縁板の位置がずれており、絶縁板とメインスイッチ間に隙間が生じていた。事故当時は、メインスイッチトリップ時に生じたアークが成長して絶縁が破壊され、地絡が発生したと見られる。同社は再発防止策として、▽絶縁板下部をインシュロックでケーブルに固定する、▽取付ボルトは接着剤で固定する、▽メンテナンス項目にはなかった絶縁板の取り付け状態も定期的に確認する--などを行う。また、事故機の10号機で風車内の各機器を調査し、機器の状況に応じて機器の補修・交換を行う。それ以外の1~9号機は、再発防止策を実施済みのため、安全を確認しながら順次運転を再開する。ゼネラル・エレクトリックによると、同機種は約1200件の納入実績があるが、同様の事故事例が14件発生しているという。