三菱日立パワーシステムズ（MHPS）は6月13日、長崎工場（長崎市）内に石炭ガス化炉工場を完成させ、石炭ガス化炉の製造を始めたと発表した。石炭ガス化炉は、石炭ガス化複合発電（IGCC）プラントの中核設備で、製作中のものは出力54万kWのIGCC設備向け。完成後、このガス化炉は、三菱重工業や東京電力ホールディングスなど5社が出資して設立した勿来IGCCパワー合同会社の設備(福島県いわき市)で使用される。同社は2018年6月から順次機器類を出荷し、現地への輸送と据え付けも行う。

 

　同社は新工場の完成で、IGCCの一貫した生産体制を長崎工場に構築できたとしている。従来の石炭焚き火力発電設備用に製造したボイラーの要素技術に加え、新開発した自動溶接装置、ITを駆使した生産方式を導入した。IGCCはガス化炉で石炭をガス化し、ガスタービンと蒸気タービンを組み合わせたコンバインドサイクル方式で発電する。従来の石炭焚き火力発電設備より発電効率が高く、CO2排出量も少ないなど利点が多い火力発電システムとされる。