東京商工リサーチ(TSR)は1月12日、昨年の太陽光関連事業者の倒産状況を集計し公表した。集計結果によると、昨年1~12月の倒産件数は65件(前年比20.4%増)と2000年の調査開始以来最多を記録した。負債面でも、大型倒産の発生などで過去最高を更新した。倒産時期では、1~6月に30件(20%増)発生しており、2014年までの年間件数を上回った。7~12月には35件(20.6%増)発生したほか、12月は単月では最多の10件が発生している。
負債額別では、1000万円以上5000万円未満が最多で23件(構成比35.3%)だった。以下、1億円以上5億円未満が22件(33.8%)、5000万円以上1億円未満が13件(20%)と続いている。1000万円以上5000万円未満の負債額は、前年比で53.3%増(15→23件)と増加しており、小規模な企業ほど経営状況が悪化していることが見て取れる。倒産の原因別では、「販売不振」が最も多く35件(53.8%)となった。以下、「事業上の失敗」が11件(16.9%)、「運転資金の欠乏」が8件(12.3%)という結果になった。失敗原因のうち、「事業上の失敗」は前年比で83.3%増(6→11件)、「運転資金の欠乏」は60%増(5→8件)と大幅に増加した。参入はしたものの、安易な事業計画で見込んだ業績を上げられず倒産するケースや、思うように市場が拡大せず行き詰まったケースが目立つという。「運転資金の欠乏」では、売上高の急拡大後に受注減となり資金繰りに窮するケース、つなぎ資金の欠乏や在庫負担で資金繰りが破綻したケースが多い。同社は、ブーム便乗型の企業に共通する財務基盤の脆弱さを克服できない企業の倒産は、今後も続発する可能性があると警告する。
これらの背景には、相次ぐ電力買い取り価格の引き下げや、参入企業が多くなり起きた市場競争の激化などがある。また、昨年末には橋本工務店(大阪府、負債額3億7400万円)やイー・エム・エンジニアリング(東京都、約9億円)などが事業破たんしており、年後半の倒産が目立った。倒産に至らなくても、信用不安が拡散している企業も見られるという。倒産の原因ではブームの終焉以外にも、取引先の経営状態や発注動向で倒産するケースもある。今後は買い取り価格がさらに引き下げられることも予想され、同社は「2017年は、採算確保が厳しい太陽光関連事業者の淘汰が、昨年以上のペースで進むことが危惧される」としている。