京都大学と大阪ガスは12月24日、熱エネルギーを太陽電池が効率よく発電できる波長の光に変換できたと発表した。浅野卓・同大大学院工学研究科電子工学専攻准教授らの研究グループと同社が開発した技術で、このプロセスでは発電効率は40%と従来のほぼ倍に高まると期待されている。両者はこれで熱エネルギーを利用した発電技術の効率向上が期待できるとしている
物質を加熱すると物質内部の電子の熱運動が激しくなり、様々な波長の光を放出する。この現象が熱輻射だが、その一種である太陽光は紫外線や赤外線など様々な成分を含んでいる。太陽光発電で効率よく電気に変換できる光は、太陽光の中でも可視光線と近赤外線の境界付近の光だけで、他の成分は有効利用できなかった。同大は、熱輻射を自在に制御することがエネルギー利用効率を向上すると考え、加熱したときに特定の波長の光のみを発生させる技術を開発してきた。また同社は、2013年から熱輻射の制御技術を同大と共同研究してきている。今回の共同研究では、半導体材料に用いられるシリコンでフォトニックナノ構造を形成し、高温時に太陽電池が効率よく発電できる波長の光だけを放出する熱輻射光源を開発した。太陽光を集光してこの光源を加熱すると、集めた光エネルギーをすべて太陽電池に有効利用できる光に変換する。このため発電効率が従来より向上する。熱源は太陽熱だけでなく、燃焼熱なども同様に利用できるという。