2016/11/28 ニュース
風車の低周波音は健康被害と関連薄い 環境省が報告書
 環境省は11月25日、水・大気環境局長が委嘱した「風力発電施設から発生する騒音等の評価手法に関する検討会」が取りまとめた報告書を公表した。平成25年度から、風力発電設備で発生する低周波音などの調査、適切に予測・評価する手法を検討した結果をまとめたもの。同報告書では、風車の騒音を「人の健康に直接的に影響を及ぼす可能性は低いと考えられる」と述べている。
 
 風力発電設備は、風車のブレードが立てる風切り音やギアの駆動音などが、設備周辺の住民に健康被害を及ぼしていると見られるケースが少なくない。委員会はこの点を重点的に、全国29か所の設備周辺、164地点で騒音を測定した。その結果、風力発電施設から発生する音は、通常それほど大きくはないが、設備が静かな地域に建設されることが多いので、比較的小さな騒音でも住民が気になる場合があるとしている。問題になりがちな20Hz以下の超低周波音は、人間の「知覚閾値を下回っている」とし、「風車の騒音は超低周波音ではなく、通常聞こえる周波数の騒音の問題」と指摘している。また、交通騒音などと比べても、特に低周波数領域が際立って耳につくということではないとも述べている。委員会はこれら超低周波音・低周波音と健康影響の相関関係で、明らかな関連は確認できなかったと結論付けた。そのうえで、今後は自動車の通過時などに発生するような「残留騒音」からの騒音増加量が5デシベル以内に収まるように騒音発生量を設定するのが望ましいと見ている。この数値は今後検討を重ねてから評価基準になる見通しで、委員会では今後、具体的な調査・評価手法を定めたマニュアルを策定する予定という。