環境省の「環境成長エンジン研究会」(座長:八木裕之・横浜国立大学経営学部教授)は平成24年度報告書「環境への取り組みをエンジンとした経済成長に向けて」を刊行した。それによると、再生可能エネルギー関連を含む環境関連ビジネス全体の市場規模は、2011年に81兆6668億円と、2010年に続き2年連続で増加したとしている。
このうち再生可能エネルギー関連が含まれる、地球温暖化対策のカテゴリーは18兆2105億円の市場規模と見られる。再生可能エネルギー関連は1兆7981億円と、2010年度の1兆7637億円から344億円増加した。エネルギーの形態別動向では、太陽光発電設備は世界全体で導入量は堅調に増加し、国内でもFIT制度で急速に導入が拡大。設置工事を除く2000年の市場規模は914億円だったが、2011年には1兆771億円に急増した。設置工事も2000年の105億円から、2011年には1354億円にまで伸長した。IEAは、世界の太陽光発電設備の導入量が2011年の70GWから2017年には230GWに拡大すると予測している。
風力発電は、2009年に新規設備への助成が停止された影響で一時導入が停滞。FIT制度で長期的な導入拡大が期待されている。設備容量は2000年の約14万kWから、2011年には約256万kWに拡大。設備投資額も2000年の153億円から、2009年には759億円になっている。導入拡大の問題の一つとなっているのが、風力発電に適した北海道、東北地方の送電網の容量不足。このため経済産業省は、2013年度に250億円の予算を計上し、北海道・東北の一部地区の送電網整備を支援していく。
地熱発電も大型設備は1999年以降新規開発が停滞。今後の新規案件が期待されている。2012年時点では、国内の地熱発電所は18か所しかなく、総設備容量は約54万kW。すべて自然公園内に立地している。現在、北海道・東北を中心に全国で15件の案件が具体化しており、導入ポテンシャルは賦存量の約43%、1420万kWとなっている。地熱発電の導入による生産誘発効果は約640億円、付加価値誘発候は約280億円、誘発就業者数は約4300人と見られる。
民生用の蓄電池は、中国・韓国メーカーと競争が激化。定置用の大型電池にも市場が拡大している。エネファームなど、2011年度の定置用蓄電池出荷での蓄電容量は約2万3482kWh、売上規模は156億円に上った(見込み含む)。バイオマスエネルギー使用施設(リサイクル・環境保全分野も含む)は、各種支援制度で利用が進む一方、採算性の問題から撤退する事例もある。このため、経済的・環境的に持続可能な利用方法が求められている。バイオマス発電施設の市場規模は、2012年3月末までに認定された施設が359施設、累積発電出力は1989万kWに上っている。認定施設から電気事業者への電気供給量は、2011年度には42億6500万kWh(4.265×109kWh)となっている。