三菱重工業は10月20日、同社など5社が福島県で石炭火力発電設備を建設・運営する事業会社「勿来IGCCパワー合同会社」(福島県いわき市)と「広野IGCCパワー合同会社」(福島県双葉町)を設立したと発表した。同社は新会社2社にそれぞれ40%を出資し、同社のほかに▽三菱商事の完全子会社、三菱商事パワー(出資比率40%)、▽三菱電機(10%)、▽東京電力ホールディングス(東電HD、5%)、▽常磐共同火力(5%)--が出資参画する。新会社2社は、出力54万kWの石炭ガス化複合発電(IGCC)設備を1基ずつ建設し、2020年9月、2021年9月の稼働を目指す。2社の資本金はともに1億円とされる。
新会社は、東電HDと常磐共同火力が実施してきた同プロジェクトの環境影響評価を承継し、今年度内にも設備を着工する。同プロジェクトの総事業費は3000億円以上と見られ、5社の出資と国内最大級のプロジェクト・ファイナンスで建設資金を調達する。5社は現在、三菱東京UFJ銀行、三井住友銀行などの銀行団から協力を得ているという。勿来IGCCパワーは常磐共同火力勿来発電所(いわき市)の隣接地に、広野IGCCパワーは東京電力フュエル&パワーの広野火力発電所(双葉郡)に、それぞれ発電設備を建設する。5社は、建設最盛期には両地点で1日あたり最大2000人規模の雇用創出効果を見込む。このほか、環境影響アセスメント着手からの数十年間で、1基あたり800億円の経済波及効果が期待できると試算している。これらの効果で、全面復興が難航している福島経済に貢献する。